ReadCube Accessの創設者、Sinisa HrvatinとRobert McGrath (Essdras M Suarez/
The Boston Glove October 08, 2012)
昨日、もう一つのブログ
Summer Daily Postの方の記事を書くために、学校の図書館のウェブアクセスで文献を漁っていたら、久しぶりにNature誌に行き当たりました。PDFで保存してゆっくり読もうと思ってそのボタンをクリックすると、
という質問が返ってきた。 なにやら見慣れぬものが。
夏休みで
ヒマなので時間はあるので、この見慣れぬものをちょっと見てみようとクリックしてみますと、
ブラウザ上のReadCubeというPDFを読む道具で文献が開きました。
ヒマなのでTake the tourというのをクリックすると、丁寧に一つ一つの機能に説明が貼り付けられて、わかりやすく簡単に説明してくれます。tourの最後に、
ReadCubeアプリケーションを入れればもっと便利になるよ!と宣伝され、
ヒマなので入れてみました。コンピューター・リテラシー度の低い私は、通常何か入れるのを異常に怖がるんですけど、今回は尊敬する天下のNature誌を通じてのお誘いですし、大丈夫だろうと思って。
ReadCubeのダウンロードは無料(Adobe AIRがインストールされている必要あり。これも無料)。ただし簡単なアカウント作成が必要です。名前とe-mailアドレス、生年月日、パスワードくらい。入力したe-mailアドレスに認証ワードが送られてくるので、それを必要な場所に入力すればアカウント作成完了。ウェブ版でも出てきたんですが、アプを起動すると説明ビデオが出てきます。もちろんスキップもできますが、このビデオはすっきり無駄なく、とても短くできているので見るのをオススメします。
さて、
ReadCubeとはなんなのか。
ReadCubeは二人のハーバードの学生によって作成された無料文献管理ソフトです。その二人が一番上の写真のイケメン二人。 二人がまだ学部生だった時、biochemistry専攻のSinisa(左)はリサーチラボで働く中で研究者たちの書類管理の不効率さに嫌気を覚えました。そこで、コンピューターサイエンス専攻だったルームメイトRobert(右)にその不満をぶつけたところ、それがこの二人が
ReadCubeを生むきっかけとなったのでした。 その後
- 2011 10月 ReadCube desktop がDisital Science社(Natureグループの一つ)のバックアップにより公開
- 2011 11月 ReadCube Web Readerがnature.comと統合
- 2012 9月 University of UtahにてReadcube Accessのパイロットプログラムスタート。
- 2012 11月 Natureグループ各誌にて公開。
という経緯をたどり、現在に至っています。
なーるーほーどー。ここでばっちりNatureと繋がった!
現在ReadCubeはベータ版ですが、”大変完成度が高く、キラーアプリたる潜在的力量を持っている”(
Chem-Station化学者のつぶやき)と研究者たちの評価も高いようです。 それでは簡単に説明を。
まず、ファイルをドラッグするだけで
ReadCube内にとりこめます。ただ、私はただとりこみたいPDFファイルだけをドラッグしたはずなのに、自分のDocumentファイルがどばっとそのままReadCube上に現れたのにびびりました。コンピューターがわからない人にありがちな、
「うわっ、何これ、こわい」という台詞がまた口から出る。 どきどきしながらも、選択できるような四角のマークが出てたので、私が入れたいのはこれだけですよ、とマークしたら、ちゃんとそれだけがReadCubeに読み込まれました。 めでたしめでたし。
読み込むファイルを選択すると、ReadCubeが早速読み込み始めます。これは本当に一瞬。うちの亀でも勝てる遅いインターネット環境でもすぐ。そして、1個1個のちゃんとしたファイル名を読みこんでくれます。これはいいですねー。文献名と作成者名が出てきて、図書館のファイルを見てるよう。きれいー。見やすいー。
記事を開くと、enhanced PDF機能が選べます。これがすばらしい。サイテーションやレファレンス、人名がリンクになり、サイドバーに表示されます。
クリックすればGoogle ScholarかPubMedで検索されて表示され、ダウンロードできたり、さらに類似の文献を探せたりします。
さらに、上の時系列の中で出てきているんですが、
ReadCube Access機能があり、自分の学校図書館が契約していなくて個人で一文献30ドル以上も払わないと読むことができなかった文献が、2.99ドルでレンタル、4.99ドルで購入できたりします。文献購読の契約はとても高額なので、学校図書館によってはあまりその契約ができず、研究者たちの研究の妨げになることがあるのですが、この機能はそういうバリアを非常に低くしてくれると評価され、University of Utahもその点の有益性でパイロットプログラムに参加したようです。
ReadCube accessをNature以外のもっと多くの出版社にも広げていくよう努力中だそう。
ReadCubeの、文献管理ソフトとしての便利さももちろんですが、いろんな記事を読むとやはりこのReadCube Accessの将来性への期待が非常に大きいようです。Nature誌も、将来的に文献閲覧がOpen-acceessになる方向性に協力的な立場でこのReadCube Accessを支援してると記事にありました。iTunes が音楽ビジネスを大きく変えたように、Science Journalの世界も変わるかもしれないと、いろんな記事がこのプロジェクトにわくわくのように感じました。
かたーい記事を書いちゃったので、ラッキーさんで茶を濁すー。
昨日は夕暮れがきれいでしたよ。
<参考文献>
PC World:
ReadCube: An excellent all-in-one tool for organizing, finding, reading and annotating PDF articles Sep 25, 2012
BistesizeBio:
How to get organized with reference managers for science-ReadCube May 13, 2013
化学者のつぶやき:
文献管理のキラーアプリとなるか「ReadCube」 Nov. 04, 2011
The Boston Glove:
A plan to open up science journals October 08, 2012